BRM921近畿600km神戸 Granfondo.Stage.4 兵庫山脈縦走 実走後編 (グランフォンド600kmブルベ)
こんにちは
さとるです。
今回はBRM921近畿600km神戸の後編を書いていきますよ!
今回で完結するので、読んでいただけると嬉しいです!
以前の記事はこちらから
今回はこちらの流れで書いていきます!
① 夜の日本海
② 眠れない夜
③ 帰路
④ 反省
それでは行きます!
① 夜の日本海
コンビニを出て、通過チェックの灯台に向けて、夜の道をひた走る
体はまだ動くが、活動時間が長すぎるせいか頭がぼーっとする
ただ眠いわけでもないので、集中してUGさんについていく
UGさんは眠気の峠を越えて、ランナーズハイ的な部分に差し掛かっているのか走りが軽快だ
とはいえ、ずっと前を走ってもらうのも悪いのでローテーションを回してもらっても大丈夫だと伝える
しかし、帰ってきた返答は意外だった!
「適度な横風がホイールを加速させてくれるから、前を走らせてほしい!」
意外過ぎて、驚いたがこれは非常にありがたい…!
道としては適度なアップダウンを織り交ぜた道で路面は走りやすいが、足の疲労はじわじわと蓄積していく感じがある
そして、疲れはマイナスの思考を呼んでくる
完走できるのか…後半の峠を登れるのか…
急な道のイレギュラーで落車するんじゃないか…
野生動物との衝突で終わるかも…
車と接触して終わるかも…
そんな時ポジティブな自分が叫ぶ!
思考を切り替えろ!!
今やるべきことは
「目の前の道を安全に1mずつ走ること」だ!
UGさんもいるんだ!
一人じゃない!
それにこんな状況これまでにもあったはずだ!
考え方を変えるだけで頭がクリアになる!
そして、真っ暗な道を駆け抜け、灯台に到着!
距離は300kmを超えた…
正直、全身痛い…
ただ筋肉的な痛みなので、まだ走れる!
さらに、20km走ると伊根の船屋に到着!
通過チェックの写真を撮るために看板を探すが、写真の例と全く同じものが見つからない
とりあえず船屋とバイク、めぼしい看板とバイクの写真を抑えたので先に行くことに
頭も疲れのせいか思考が鈍る
なんとなく駐車場を抜けて道に戻ろうとしたら
ガキン!!!
バイクが駐車場のチェーンにぶつかったらしく、体が前につんのめる
幸いビンディングは片方しかつけていなかったので、こけはしなかったが、ポールに右膝をぶつけてしまった
痛い…
気を強く持ってこらえる…
こんな形で終わってたまるか!
治れ!治れ!
と念じてさすっていると痛みはマシになった笑
今度は機材を確認すると、ハンドルのセンターがずれている
工具がないと直せないか…と思いおそるおそるUGさんに相談すると…
「前輪を足で挟んで、グイっとやれば直るよ!」
と力技で直す方法を教えてくれた笑
半信半疑だが、時間が惜しいのですぐ実践!w
すると、直った!笑
まだ走れる!!
この事実に喜んでいる自分に驚いたが、どうやらまだ情緒は生きているらしい!笑
俄然、無敵な気分だ!
きっとやれる!
どれだけ試練があろうとぶっ飛ばしてやる!
~30分後~
眠すぎる…
ガムを噛み続けることで耐えてはいるが、顎を動かすのも疲れてきた笑
UGさんに仮眠の提案をする
さ「自分は眠気が来たんで、
そろそろどこかで仮眠するのもありだと思うんですがどうですか?」
UGさん「自分も空腹と共に眠気もきてるので、次コース上にコンビニが出たらそこで止まりましょう!」
意見が一致したので、とりあえずコンビニにまで集中して走る
幸い天橋立が近いので、観光地ならコンビニくらいあるだろう…
② 眠れない夜
淡々と日本海を横目に走る
コンビニを探し始めてから、15分はたった
こうなると、だんだん看板に敏感になってくる
民家も増えてきたので、あってもおかしくないはずだが、一向に現れない
ここで遠くにセブンイレブンのような看板が見えてきた
嬉しくて思わずUGさんに確認してしまう笑
さ「あれ、セブンイレブンっぽいですね!!」
UGさん「たしかに!そうっぽい!」
だんだん看板に近づき心が高鳴る!
しかし、近づいてみると全然関係ない看板だった…
だんだんむかっ腹がったてきた…笑
コンビニないと不便じゃあないのか!
都会に100m置きに作るくらいなら
こういうところに出店した方が儲かるんじゃないのか!!
キレても無駄なので再び集中する
眠気はなんとかなるが、問題はUGさんの空腹だ
最悪、コースの外に出るのも検討しなくてはいけない
UGさんに様子を伺うと、まだいけるとのことだったのでまだしばらくはコース上走ることに
砂利の天橋立をぬけ、再び舗装路に復帰
コンビニで止まる話をしてから30分経過した
信号が現れたので一度止まってUGさんの様子を伺う
UGさんは「正直、空腹はあるが今はそれ以上に時間が惜しいので、今は先に進みたい」とのことだった
確かにマージンは1時間30分ほどしかない
この後の仮眠のことを思えば、このマージンはポジティブな動きで使いたい!
ここはUGさんを信じてついていくしかない
この手段には自分の無力さも感じるが、これが今の最善
今はこんな勝ち筋しかない…
ただ純粋に「完走したい」という欲が体を突き動かす
UGさんの背中を見ていると、弱虫ペダルのワンシーンが頭をよぎる
もちろん、自分より半端ない練習をこなしてきたUGさんなら問題ないと思いたいが、どんなに強い人間でも全く疲れずに走れるわけではないはずだ
ただ今は人の心配をしている余裕はない
今は走れているが、気づかぬ間にガス欠寸前モードに入っているだけかもしれない笑
そして、コンビニを探し始めて1時間でようやくコース上にコンビニが現れた
とりあえずトイレを済ませて、水と補給を調達
好きなもので精神衛生を保つ笑
本当はもう少し補給すべきな気がするが、食欲がない
そして、15分の仮眠タイム
靴を脱いで、アスファルトに横になる
全身の力を抜いて、眠ろうとするが肌寒く中々意識が消えない
乗ってる間は眠いくせに横になった途端、目がさえてくる現象は何なんだ笑
結局、意識が消えないままアラームが鳴った
休めた気がしない…
ポジティブな自分が「眠くないから走れるね!ニッコリ」とマジキチスマイルを浮かべている笑
UGさんもあまり眠れた様子ではないが、今は進む方が精神的に良いと考えは一致した
とりあえず60km先の小浜市を目指す
山の手前のそこまで行ければ完走への算段はできるはずだ
ノンストップでそこまでいけるかは分からないが、止まると寒さで体が冷えるため、休憩するのもあまり得策ではない
モチベーションを保つために、小浜市付近の道の駅での仮眠を目標に据える
依然としてUGさんを先頭にひた走る
ここにきて一段とUGさんの走りがキレている笑
本当に疲れを感じさせない走りでこっちまで奮い立つ
30kmほどこぐと、1週間前に試走した東舞鶴の市街地に着いた
ここまでくると、勇気が湧いてくる
行けるかもしれない…
390km紡いできた細い糸が急に太くなったように感じる
ただ気持ちと裏腹に体は全身痛い
足どころか休むダンシングで使っていた腕まで痛い始末w
それでも、変な痛みはない
まだだ、まだ終わらんよ!
ただひたすらに漕ぐ!
こういう瞬間にリアルタイムで自分が強くなっているように感じてうれしい!
ただのドMなのかもしれないが笑
400kmが近づくころ、目的にしていた道の駅が現れた
大きめの道の駅でしっかりとベンチがある
UGさんと相談してここで30分眠ることに
自転車を脇に置いてアラームをかけ、横になる…
…
……
………
…………寝られない笑
体は重力を強く感じてベンチに吸い付けられている感じがするのにどこかリラックスできない
こういう時は家で寝ているようなイメージをする
少し意識が遠のいてきた
いいぞ…このまま…安らかに眠らせてくれ…
ヒュー!!
寒い夜風で遠のいていた意識が帰ってきた笑
気温が低すぎるのか…
夏のノリで準備していたが、日本海側はすでに秋の気温だ…
ふと時計を見ると、5分経過している
全く休めていないのに
時間が経過していることに激しい恐怖を感じた
このまま眠れなければ、とても残り200kmは走り切れない
日が出るまで走り続けられれば、
暖かくなって眠るチャンスもあるはずだが
日の出まではどんなに少なく見積もっても4時間近くある
平地なら4時間漕げそうだが、この後はおにゅう峠が待ち受けている
道が登りでは日の出まで体を動かし続けられる自信はない
そんなことを考えていたら、アラームが鳴った
眠れた気がしないが、眠れない仮眠ほど無駄なことはない
これなら10km/hでも進んだ方がいい
UGさんの様子を伺うと、
同じようにあまり眠れた気がしないらしい
それでも、絶望している暇はない
準備をして出発
UGさんは快調に走っていく
自分も走ってみると、意外と体は動く笑
2,3km走ったところで信号が現れたので、携帯を確認しようと取り出そうとトップチューブバッグに手を突っ込む
ない…
バックポケットか…
ない…
一気に自分の血の気が引くのが、分かった
とりあえずUGさんを呼び止め、めぼしい部分を探すがない…
申し訳なさがすごいが、ここで待っていてほしいとの旨を伝えて道の駅へと踏み込んでいく
ああ…何やってんだ…馬鹿か…おれはUGさんの足を引っ張りに来たのか…!
注意力が散漫になっていたのか…全くどこに置いたのか記憶がない
これはどんなに怒られたって仕方がない
たった2,3kmが凄まじく長く感じる
往復で5km近くロスしているんだから、全行程が600kmあるとしても決して無視できるものじゃない
なんとか道の駅に着いたので、ベンチのところに行くとスマホがベンチの上に置いてあった笑
安堵と自分への怒りが混じったため息がこぼれる
そして、振り向くとUGさんがいた
ついてきてくれていたんですね…
いい人過ぎて泣きそうになる笑
お騒がせしてすいませんでした<m(__)m>
気を取り直して先を急ぐ
とりあえず試走の時にいったおにゅう峠の前のすき家に向けて漕いでいく
気づけばすき家に到着していた
フラフラだが、とりあえず店内に入り席に着く
注文して先のことを相談する
今は420km地点、時間は25時20分経過
残り距離は180km、時間は14時間40分
グロス平均15km/hで走れば12時間ほどで走り切れる距離のはずなので、マージンは2時間ほど
ここまで整理したところでご飯が出てきたので、二人で黙々と食べる
ふとUGさんが口を開いた
「大変言いにくいんですが、、、」
思わず食べる手が止まる
瞬間的にこの先に続く言葉が分かってしまった…
自分は負けを認めることが怖くて言えなかった言葉だ
「DNFしませんか…?」
ああ…これが現実か…
それでも、自分は諦めきれない…
思わず反論してしまう
さ「マージンは2時間もあるので、夜明けまで2時間休んでリスタートしませんか?」
UGさん「仮にそれでマージンを使っても安全に最後まで走り切れる保証はないですし、マージンを使い切れば時間的に厳しくなると思います」
自分でもそう思う
ああ…反論の余地がない…
もしこれがGFを走ってない人に言われたのなら従わなかっただろう
でも、自分と同じ距離を走り、その上、自分の前で風を受けながら走り続けた人に客観的な事実を言われたら、少しも反論出来なかった
自分一人で走る選択肢もあるが、精神面、肉体面、トラブル対応すべて厳しい…
それに、もし落車や動物との衝突で身動きが取れなくなった場合、日中でも人通りがないこのルートでは本当に命に関わる
そこまで考えた時にはもう答えは決まっていた…
「DNFしましょう
ここまで一緒に走っていただき、
ありがとうございました」
こうして、お互いにほんの少しの余力を残した状態で今回のブルベは終了した
③ 帰路と反省
電車で家まで4時間ほどだ
頭の中でハイキューのワンシーンが頭をよぎる
Twitterを見ていると、日々多くの人がキャノンボールやブルベなどの難しいライドを達成している
自分もそれなりに努力はしたし、少しは報われると思っていた
でも、違った
現実は甘くない
成功している人にかくれているだけで、失敗している人の方がずっと多い
勘違いしていたんだなあ
でも、これで終わりじゃない
これは希望的観測かもしれないけど、今日無事で帰って練習を続ければ、どこかで努力が実ると信じている笑
また一歩ずつ頑張ろう
④ 反省
今回の反省点
1.仮眠のための準備不足(防寒対策)
2.地力不足
一つずつ考察すると、
1.仮眠のための準備不足(防寒対策)
9月なので、防寒具がウインドブレーカー一枚しかなく、足に関しては半レーパンのみだった
この装備では夜の仮眠は不可能に近かったと思う
対策としては…
・防寒具を増やす
・日中に仮眠しておく
今回の場合は荷物を増やしたくないので、後者の選択肢をとるべきだったと思う
今後、こんな限界ライドをやることがあれば意識してみます(笑)
そもそもないかもだけどw
2.地力不足
これは足的にも体力的にもあると思う。もう少し余力を持って走っていればスマホを忘れたりすることはなかったと思うし、もう少し自分のペースで練習を続けます笑
以上です!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
次はどこに行こうかな?